ジーンズ 2017 5 27
経済に国境がないと言われる現代社会。
しかし、エリートや投資家には国境がないかもしれませんが、
庶民には、そう簡単に国境を越えることができなかったのです。
つまり、エリートや投資家は、簡単に国境を越え、
庶民は、国境の中で日々の生活をしていることが、
大きな経済格差を生んでいます。
もちろん、庶民にも、
「経済に国境がない」ことにより恩恵はありました。
私が大学生の頃は、ジーンズは高級品でした。
今でこそ、庶民向けの安物衣料というイメージですが、
当時は、7,000円から10,000円ぐらいの価格だったと思います。
そういうわけで、1枚のジーンズを1年中履いていました。
買った時には、青々としたジーンズも、
年末には、白い部分や、ほつれていしまう部分が出てきました。
やがて、ジーンズの生産は、
国内生産から、人件費の安い発展途上国の生産となり、
非常に安い値段で買うことができるようになりました。
一方、これは、国内の工場の閉鎖を意味しますので、
国内の雇用は失われたのです。
製造業においては、先進国の単純労働者は、
発展途上国の単純労働者と競争することになったので、
とうてい太刀打ちすることはできず、
先進国の単純労働者は、次々と失業していったのです。
このようなことは、アメリカでも、
30年前ぐらいから、よく聞かれました。
アメリカ国内の工場を閉鎖して、
メキシコに工場を建てれば、人件費を大幅に削減できて、
売上高は拡大していないのに、会社の利益は拡大して、
経営者の報酬と株価は、大きく上昇しました。
しかし、アメリカ国内に取り残された庶民は、悲惨なことになりました。
グローバリズムというと、すごく響きが良いですが、
実は、これは、姿形を変えた「植民地経営」です。
植民地経営のポイントは、
人件費の安いところで生産することだったのです。
現代では、この変形版もあります。
難民を大量に受け入れて、低賃金の労働者として働かせることです。
これは、「国内版の植民地経営」と言えるでしょう。
こうした不公平に気づいた庶民が大きな声を上げたのが、
アメリカや欧州の選挙結果と言えるでしょう。
庶民は、ひたすら「トリクルダウン」を信じて、
つまり、富める者が富めば、
その富が、やがて貧しい者にも「滴り落ちる」と信じていたのですが、
それが嘘だと気づいて、
庶民は、怒りを選挙結果に反映させたのです。